日本大学生産工学部 環境安全工学科

学科紹介

主任教授挨拶

「サステナブル社会の実現」
− どんな状況でも着実に前進させるべきこと −

環境安全工学科 教授 鵜澤正美 博士(工学) Uzawa Masami, Ph.D

「サステナブル」という言葉は1980年台の半ばより欧米では「環境と開発」に関する用語として知られていますが、我が国においても最近になって広く認知されるようになりました。当学科の英語表記である"Department of Sustainable Engineering"は、学科創設以来、サステナブルであるための科学技術に関する学問を学ぶ場として、社会情勢の変化に即応しながら歩んできました。サステナブルとは一言で表すと「環境や社会にやさしい」となります。これは、人間生活環境においては、「現在のような環境下で持続的に動植物が地球上で生存すること」、また、社会環境においては、「万人が社会的に公平な扱いや恩恵を受けられること」を意味し、SDGs(Sustainable Development Goals)の理念を表す言葉ではないかと考えています。SDGsの特に"7 エネルギーをみんなにそしてクリーンに"、"9 産業と技術革新の基盤をつくろう" 、"11 住み続けられるまちづくりを" 、"15 陸の豊かさも守ろう"などはこの学科でも重要なテーマとして取り組んでいます。

COVID-19感染症の猛威という前代未聞の災害から少し抜け出しつつある昨今、世界では戦争やエネルギー問題と経済を優先するあまりに環境問題の解決が後回しになりがちですが、地球温暖化とそれに伴う異常気象は着実に私たちの身の回りでも実感することが多くなってきています。「サステナブル社会の実現」は、着実に一歩一歩できることを精一杯やっていく、地道ではあるがとても重要な人類のミッションだと思います。当学科で学んだ卒業生は、そんなミッションに実務を通して取り組んでいます。少しずつでも社会に貢献できる力になるような学生を育成したいと思っています。

環境安全工学科は、これまでの20世紀型のモノを「消費する」技術から「モノを循環させる」技術への転換が求められる21世紀型へ対応すべく、2009年に新設された『環境をデザインし、サステナビリティーを専門で学ぶ』日本で唯一の学科です。

本学科では『3つの視点』から環境を捉え学習します。

1. 人間生活環境問題:人口増加、食料と水の確保の問題、これは我が国の少子化とは裏腹に、2060年には世界の人口は100億人を超えると予測されていますが、人口が増える過程で土地、食料や水の供給が不安定になり、地域によっては水質汚濁の深刻化や水利権をめぐる紛争など起こり得ることが予想されます。世界中の人々に常に清浄な水供給はSDGsの目指す目標の一つでもあり今後さらに力を入れるべき課題です。その他、人間生活環境の安全性を保つ観点を学習します。

2. エネルギー問題:近代文明の象徴とも言える化石燃料の存在は、まさに世界経済の基軸であり、強いては利害紛争の原因ともなりうるものです。しかしながら、パリ協定により今後排出できる二酸化炭素量の制限によって、「あるから使える」資源ではなくなってきています。21世紀は常に環境に配慮した新しいエネルギー資源開発が求められています。

3. 都市環境問題:世界的に都市部に人間が集中する傾向があり、経済自体も都市を中心として発展することになります。東京をはじめ多くの都市では、都市機能を担うインフラの老朽化,耐震基準に満たない家屋やビルの存在や廃墟となった建物など、さまざまな問題が浮き彫りとなっています。一方で地方は過疎化、高齢化が進み、財政も働き手も減少する傾向にあります。

政府は「第6期科学技術基本計画」のなかで、"科学技術・イノベーション政策が、科学技術の振興のみならず、社会的価値を生み出す人文・社会科学の「知」と自然科学の「知」の融合による「総合知」により、人間や社会の総合的理解と課題解決に資する政策"を打ち出しています。多様な考え方、多方面での知識を融合して問題解決していかなければならない、それは、大学という場を総合的に活用して多くの知識をもった技術者に成長することが求められています。

多角的視点と知識、技術を学べるのが環境安全工学科です。「サステナブル社会の実現」を目指して、一緒に勉強、研究をしていきましょう。

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