日本大学生産工学部 環境安全工学科

教員と研究テーマ紹介

教員からのメッセージ

手を動かす「化学」はもっと面白い
「なぜだろう」がきっかけで夢中に

准教授 亀井 真之介 Shinnosuke Kamei

私の専門は新しい材料を作る材料合成です。環境安全工学科では、安全、環境、エネルギーの観点から、ものづくりを考えていますが、私もこの観点で、有益な材料を生み出す研究を続けています。無機化学という分野です。

無機化学に関心を持ち始めたのは大学3年生の頃。ゼミ生だった当時、よく知らない元素があることに気づきました。原子番号の数字が大きく、元素周期表の下方にあるマイナーな元素のことです。「いったい世の中にどう役立っているのだろう」。ふと思い浮かんだこの疑問を教授に質すと、あるマイナーな元素のひとつは、発光材料に使われていることを教わりました。衝撃的でした。知らなかった元素が実は、私たちの生活を支えているのです。

実験を重ね、実際に発光する様子が分かってからは、さらに研究が面白くなりました。それからは「もっと違う色にするにはどうしたらよいか?」「もっと明るく光らせることはできないだろうか?」とアイデアが膨らみ、この時の興味が、現在の研究にも結びついています。

具体的には現在、一般的に使われている機能に、別の新しい機能を付与することで、違う用途に使えないか研究しています。たとえば、建築材料として使用されるセメントやコンクリートを発光させることができないか――こんなことを考えています。将来、実用化されれば、LEDの発光材料として利用できるかもしれません。無機化学は安全や環境の面からも大きく貢献できる可能性を秘めているのです。

私が担当する「無機化学」の授業では、なぜそのような材料を作り出さなくてはいけないのか、なぜ環境のことを考えないといけないのか、学生に問題を投げかけるように心がけています。学生が自分で問題に気づき、考え、その解決方法を見つけてほしいからです。環境安全工学科の魅力は学べる対象が広いことでしょう。1年次には化学的な考え方、土木的な考え方、エネルギー的な考え方を幅広く学び、基礎を固める。それから2年次以降は、自身の興味に応じて、各分野のエキスパートを目指してほしいと思います。

私自身、中学・高校時代を振り返ると、興味はありながらも化学の勉強は苦手でした。でも、大学3年生の時にゼミに入り、手と頭を動かすようになってから、化学の本当の面白さに気づきました。受験生のみなさんも情熱を傾けられるトピックスや問題意識を自身の分野に結びつけ、それを一生懸命に追いかけてほしいと願います。

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